魔術の伝承と知識-About Witchcraft-

黒ミサとはなにか

カトリックが教会で行う神を崇拝する集会のことを「ミサ(Mass)」と言います。「黒ミサ(Black Mass)」とはその真逆の行為であり、悪魔を崇拝、信仰し、その力を得んとする儀式や集会のことを言います。

黒ミサとはなにか

◆ミサと黒ミサの違い

まずミサには、神に祈りを捧げ賛美歌を唱和する一連の流れがありますが、黒ミサには決まった形式はありません。しかしながら、黒ミサはミサに逆行する物としての立ち位置であり、ミサのあらゆる物や手順を逆さまに執り行うという原則があるとも伝えられています。つまり、祭壇には十字架を逆さまに吊るし置いて、それに祈るのではなく、踏み付け唾を吐きかけ冒涜して、神聖さを汚すのが黒ミサの大きな流れだとされているのです。またミサにおいては、キリストの聖血に見立てて聖別されたワインを信徒が飲みますが、黒ミサにおいては水や幼児の血を飲んだとも言われています。悪魔崇拝信徒たちは黒ミサ儀式の中にあって、あらん限りの方法で神を冒涜し、暴力と淫行に耽り、悪魔を呼び出しその力を得ようとしたのです。ここまでして悪魔の力を求める根底には、ミサが神の力を借りて奇跡を起こす儀式ならば、黒ミサによって悪魔の力を借り、魔術を使って黒い奇跡が起こせるのではないか、という主義・思想がそこにはあるからなのです。

◆黒ミサの悪魔召喚儀式

辺り一面が深い暗闇に覆われた深夜の11時。時の鐘の音とともに、黒ミサの儀式は幕を開けます。多くの場合、荒廃し打ち捨てられた教会の跡地で儀式は執り行われました。そこに司祭が到着すれば儀式が始まります。この場合の司祭とは、すでに聖籍を剥奪された者を言います。黒色や血の色に近い衣装をまとい、黒いキャンドルの炎が揺れ立つ汚れた祭壇の上に十字架を置き(ときには女性が生け贄として捧げられたとも言います)、聖書を逆から読むことで悪魔へ向けての呪句としたのです。そして黒ミサの悪魔召喚の儀式は、深夜0時を迎えると同時に、静かに終わりを迎えるのでした。

◆タブーとされた黒ミサ

現代に伝わるこうした黒ミサの儀式内容は、14世紀頃に始めて知られるようになったと言われています。ちょうどその頃は、教会が異教を強く迫害していた時期であり、教会=神に反して、信仰放棄と悪魔崇拝から黒ミサは興ったものと考えられています。成熟したカトリック社会の時代では、黒ミサは到底容認できる行為ではありませんでした。そのため、参加するメンバーもお互いが深く秘密を守ることを誓い合い、結果として悪魔信仰の秘密結社としての集合体がいくつかできあがったと言われています。しかしながら、7世紀初頭にはこうした儀式めいた集会が行われたとか、いやいや19世紀に入ってからだ、という説もあり、いったいいつから黒ミサの儀式が執り行われるようになったのか、定かではないのが実情です。

◆黒ミサとサバト

付け加えておくならば、魔女は悪魔を信仰しているのではないため、黒ミサを行うことはありません。魔女はあくまで悪魔と対等の立場となり、契約を結んでその力を利用しこそすれ、その支配下に置かれるということはないのです。魔女の行った集会・サバトと黒ミサはその点で異なっているのです。

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