魔術の伝承と知識-About Witchcraft-

黒魔術と呪い

現代魔術は、“白魔術”と“黒魔術”とに大別されます。一般的に、天使や精霊、善霊を呼び出して願望を満たし、癒し効果などを得るための白魔術に対して、悪魔や悪霊を呼び出して契約を交わした後、その力を借りて己の欲望を満たす、言わば攻めの魔術を発動させるのが黒魔術とされています。そこで今回は、黒魔術を用いて行なう呪いについて解説していこうと思います。

黒魔術と呪い

◆呪いにはどんな種類があるのか

さて黒魔術は、積極的に願望の達成を得ようとする方の力となるのとは別に、相手にダメージを与えることができる魔術でもあります。いわゆる魔術儀式によって、すでに決まっている対象者に魔力を送り込んだり魔術をかけたりするのです。ちょっとした失敗や不幸を呼び込むものから、その人の精神や肉体を崩壊に導くものまで、呪縛の度合いは異なりますが呪いの黒魔術は確かに存在します。もっとも呪いをかけると言っても、誰かに復讐を企てたりライバルを蹴落としたりする攻撃タイプや、自分の財産や墓に魔術をかけて守りとし、それを侵そうとする相手に呪いをかける防御発動タイプといった具合に、目的や効力に違いも見られます。ですから黒魔術による呪いとひと口に括ってしまうのも、いささか誤解を招くかもしれません。

◆呪いを効果的に発揮するには

そもそも呪いは、誰にでもかけることができるものなのです。相手に対する憎しみや怒りの念を心に秘め、貶めることを願い呪文を口にするだけでいいのです。しかしそう言ってしまうと、「じゃあ私も今すぐ、嫌いなアイツを呪ってやろう」と早とちりする方もいらっしゃるかもしれません。申しておきますが、呪いの効力は、たとえ貴女が黒魔術の中でも高等魔術に分類される呪文を唱えようとも、まったく効果を発揮しないでしょう。それはつまり、術者の魔術的霊質や精神状態が影響するからです。もっとも、魔力がない人が行なったということは、魔術の失敗に伴う術者への呪いの反発(魔術戻り)もないことを意味します。黒魔術で呪いをかけるときは、当然ながら魔術師や呪術師、魔女や司祭などの専門的知識を有する人の方が強い効力を得られるのです。ですから一般人が魔術を行なうには、始めに魔術師への参入儀式を行なう必要があります。

◆参入儀式をせずとも呪いがかかる場合

魔術師を始めとしたいわゆるその道のプロ以外でも、魔術への扉が強い霊念によって例外的に開き、悪魔を呼び寄せることがあります。それはたとえば、女性や改善不可能な状態まで健康を害している社会的弱者や、強い正義感を抱きながらも、それを発揮する手段を持たずパワーを鬱積している人や、瀕死の状態にある人などです。これらは、魔術師への参入儀式を経なくても、魔術による呪いをかけることが叶う場合があります。ただしその場合は、本人は気付かないのですが、残りの寿命を代償として払うことになります。代償もなしに、個人が魔術をかけることはできないのです。中でも、死を目前にした人がかける呪いは最も効力を発揮し、かけられた対象者のみならず、その一族郎党や子々孫々までその呪いは影響するとも言われています。もっともその場合、魔術をかけた側も代償として残りの全生命力、ときにはその人の子孫、あるいは自身の来世での寿命を差し出すことになります。

◆最後に ~守るべきこととして~

最後に記載しておきますが、魔術儀式を行なったことは口外無用にしなければなりません。誰かに話した場合、あるいはそれとなく匂わせただけでもその魔術の効果は霧散してしまいます。ただ効果が発動されないだけならまだしも、たとえ本人が魔力を有してなくとも、前世で魔術に関わっていたり先祖に同じく魔術に縁のある人がいたら、その影響がひょんなことから表層に上り、術を行なった人間に対して不幸を招くことがないとも言えません。くれぐれも中途半端な気持ちで執り行って、軽々しく秘密を口にすることのないようお気を付けください。

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